PROJECT STORY

ハードウェア性能の限界を超える。
知恵を結集し挑む自動車向け新規技術開発。

世界の安全運転を支える、自動車向けカメラの開発プロジェクト

大手電機メーカーグループの開発会社としてスタートしたミラクシアエッジテクノロジーの、現在の注力事業の一つとなっている自動車向け技術開発。ソフトウェアとハードウェアの双方を知り尽くしている当社だからこそ実現した取り組みの一例を紹介します。

出会い

出会い

山崎は、自身が目指す「お客様への機能および商品提案」を実現するため、日々模索していた。そんなとき社内の技術交流で出会ったのが、AI推進課の松本である。
松本は、自身が取り組む機械学習の研究を事業に結びつけることを目標にしていた。

山崎:お客様向けへの提案のため、カメラキャリブレーションの機能改善案を日々考えていました。それまでにも、お客様に対して性能改善の提案をしていましたが、さらなるアイデアを探していたところ、松本さんに出会いました。

※カメラキャリブレーション:カメラの映像ズレ量を、カメラ映像を元に計算する技術。カメラの取り付け位置によって、その映像と実際の目標物の場所にはズレが生じるため、補正をおこなうために、ズレ量の計算が必要となる

松本:私が所属するAI推進課では,ニューラルネットワーク(以後、NN)に関する新規技術の構築(NN小型化技術及び学習自動化)をしており、この技術による低コスト・短TAT(Turn Around Time)開発を目指す活動を行っています。事業化に向けてそれを活用できる連携部門を探していました。

プロジェクトスタート

出会い

二人は互いに話すうちに閃いた。“互いの技術を組み合わせれば、お客様に向けて新たな技術を提案できるのではないか?” それぞれの目標にむけて、すぐに連携が始まった。
約6カ月に及ぶ検討/試行を経て、次のステップとなる実現性実証とお客様へのアピールのため、デモ環境を会社主催のお客様向け技術展示会に持ち込んだ。

松本:NNが得意な画像認識分野であること、実際のカメラ機種への展開のため、低コストを実現する必要性があることから、技術的な親和性が非常に高いと考え,すぐに連携へ着手しました。

山崎:計算のアルゴリズムを四苦八苦して考える工程を、松本さんの職場が持つ「学習自動化」を用い高効率でTry&Errorできるかもしれない。製品への組み込みに向けた、作り込みの手間を少なくできるかもしれないと想像すると、ワクワクしましたね。

山崎:話し合う中で、どういう画像なら学習できるのか、どういう構成のNNだとそれが実現できそうか、など松本さんにたくさんアイデアを出してもらいました。その中から、これは!というアイデアに対して実現性の確認を進めていきました。
ある程度アイデアが固まったところで、お客様へアピールしていくため、実際にプロトタイプを作って、性能確認し改善検討する、といったPDCAを回して、デモ環境に仕上げていきました。

見えてきた課題

見えてきた課題

技術展示会でのデモは二人の期待以上に好評で、さっそく、とあるお客様から商品への適用ができないかと打診があった。そこから数度の打ち合わせを経て見えてきた課題は、「コスト面から、低スペックマイコンで高精度/処理時短/ロバスト性を満たすこと」。この解決に向け突き進んでいく。

山崎:技低スペックマイコンですから、処理時間が遅くてメモリ容量が小さいんです。とてもカメラキャリブレーションをするソフトウェア向けではないわけです。この課題を解決するために、展示会時のプロトタイプをどう発展さえればいいのか、すごく考えました。とにもかくにもメモリアクセス量と計算量をどうやって減らせるのか、難題でしたね。

松本:ソフトウェア構成を「NNへのInput情報を作る前処理」「NN」「NNの出力判定を行う後処理」に分けることを提案し、同じAI推進課の堀川とNN学習の基盤構築にすぐに取り掛かりました。

堀川:ROMサイズ要求・精度要求を満たすNN構造・データ入力方法を考えるところに難しさがありました。画像の切り出し方・画像の縮小方法・NN構造を変更しながら、学習→評価→分析を幾度となく繰り返しました。このNN構造には非常にこだわりましたね。
松本さんと議論を交わしながら、最終的には、ROMサイズと精度の要求を満たすことができました。

立ちはだかる壁

立ちはだかる壁

先行開発フェーズでは課題解決の目途が立った。次なるハードルは、量産するための商品開発フェーズ。社員の98%がエンジニアという技術者集団の中で、車載商品の設計担当のスペシャリストである木本と安田がメンバーに加わった。

お客様が商品として求める定義を洗い出したところ、要求される目印・カメラの設置誤差が想像以上に大きいことが判明。その誤差を考慮した評価を実施すると、NNの精度不足が発生し、直ちに対策が必要となった。

木本:NNの出力結果を元に、カメラキャリブレーション開発経験と知見をベースに解決案を模索しましたが、NNの特性とマッチしない部分があり、試したアイデアの性能判断が難しかった。手段的に機械学習の観点で考えると効果がでないことも度々あり、苦しかったですね。

松本:要求仕様に対して、改めて前処理との役割分担含めて実現案を創出しました。一筋縄にはいかず、仮説検証の反復によって少しずつ前に進む形となり苦労しました。

山崎:何とかして商品開発として成功させたかった。なので、並行して別プラン(バックアッププラン)を検討していきました。NNの出力結果を補正するアイデアや、NNを使わないアイデアなど考えられるだけ考えていって。ついには他ブロックと上司も巻き込んでのアイデア出しに発展しました。

安田:バックアッププランの検討では、商品性能を達成するかの見極めに苦労しました。NNを使用しない別手法を設計、実装してみても、すぐにメモリが破綻したり、SW構造や処理シーケンスを変更したり、他にも様々な課題が発生したりと。それでも、周囲と協力することで、システム成立性を証明することができました。

ついに採用

ついに採用

その後も試行錯誤を繰り返し、NN性能改善対策を行ったが、検証の結果、最終的に行き着いた結論は、「複数タイプの車両に適用するにはリスクが高い」というものだった。しかし歩みを止めてはいられない。
プロジェクトは、並行して安田が中心となって進めてきたバックアッププランにすぐさま舵を切り、最終的にお客様から採用いただくこととなった。

木本:当初案で最後の最後まで粘り、性能を改善しましたが、もう一歩及ばなかった。悔しかったですね。

山崎:残念ではありましたが、バックアッププランをお客様へ提案する運びとなり、結果的にお客様から採用いただけました。バックアッププランに切り替えて性能改善を実施し、求められる性能を達成しました。長かったですが、商品開発完了の目途が立ちました。

堀川:今までのやり方を大きく変える場面もあり苦しかったですね。ただ、精度を高めていくために多くの技術者が知恵を持ち寄り、自分だけでは思いつかないようなアイデアを出していく。そしてそのアイデアを限られた時間の中で実現するために一丸となって進んでいく、というところには、正直楽しさも感じていました。やりがいも大きかったですね。

中原:新規技術の構築は必ずビジネスとして成功する訳ではなく、特にAIの精度改善は自社内の机上だけでは実現出来ず、現場、現物、現実で改善する必要があり今回も困難を極めました。
お客様と一緒に技術検討した期間は苦しくも非常に実の有る経験となりました。

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皆様とお会いできていることを
心から楽しみにしております。